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9/4 シングルス決勝 美浜



みなみ VS かのん 

ラケット面とボールが接触する時間は1000分の3秒ほどと言われている。数十回続くラリーを1ポイントだけで数十回のストロークをミスせずに数十回ポイントを積み重ねなければならない試合。
アドバン女子のオールに勝つには相当な我慢比べを強いられると思う。
実際、この試合の全得点のうち58%(67/115)が凡ミスで決まっている。
両者が決勝までに勝ち進んだ要因はその我慢比べに勝ってきたからではないでしょうか!
しかし美浜の会場は天井が高くなく、特にロブを得意とするかのんが十分に戦略を組み立てられない中での試合だった。


立ち上がりは両者早めのミスが目立ちキープスタート。先にミスの芽を摘んだのはみなみさん。かのんがミスをするまで耐え抜いて連取し2-1。続くゲーム、フリーポイントなどですんなりキープに成功し3-1みなみさんリード。

かのんのサービス。40-0からデュースに追いつかれるものの長いラリーを制して3ゲーム以上離されずに3-2でセット中盤を迎える。
みなみさんの10本以内のラリーでのミスが2つ続く。ここでかのんが揺さぶりをかける。ネットに詰めてポイント獲得。駆も私も今まで見たことがないような組み立てだった。低天井対策なのか新たな切り札をここで見せてきた。続くポイントも低弾道のスピードボールのウィナーで3-3のタイにする。
準決勝後のミーティングで高弾道以外の球が今後必要であることを反省に挙げていたが、このタイミングで打ってきた。
「短時間で身につけられないから次(決勝)は粘り強く行く」。天井という強制された場であるためかあまり見せない球を出した。本人曰く昔は「あんなに高弾道じゃなかった」と語っていたがチャレンジしたことに変わりない。

第7ゲームもネットプレーを織り交ぜて4-3かのんリード。これ以降長いラリーが増えてくる。
みなみさんは凡ミスでポイントを落とすようになってしまう。一方でかのんは守備位置を普段より上げてライジング気味で処理する。5-3かのんリードに。
第1セット最終ゲームみなみさんは3本のウィナーを獲得もみなみさんはロブ以外の球を積極的に前で取る姿勢を見せるかのんを前にミスを強いられる。最後は約60回に及ぶラリーの末かのんのフォアハンドボレーで第1セット獲得。

みなみさん3-2の第5ゲームまでは凡ミスの数ではかのんの方が上回っていたが、後半に差し掛かる中でみなみさんのバックハンドのミスが増えてきた。
かのんの守備位置の上げ下げや今まで見せなかったアプローチなど新手が功を奏した第1セットだった。


第2セットはみなみさんが先に2ゲームを連取。第3ゲーム以降から終盤までみなみさんのサーブが冴え渡っていくもののかのんは数少ない2ndサーブのポイントをしっかり取っていく。みなみさんの2本のサービスポイントがあったもののかのんはラリー戦を制しブレイクバックに成功。
しかし、次のゲームは早い段階でのミスが重なりあっさりブレイクバックでみなみさんから3-1。
3ゲーム以上は離されたくない。
そんな中、ラリー戦をしっかりものにしたのは、やはりかのんだった。第5ゲームは全て20回以上のラリー。このゲームを獲得し3-2みなみさんリード。
守備的な守備のラリーをしたと思ったら次のポイントは攻撃的な守備のラリーをするかのん。そのちゃんぽんが功を奏した。理由は全くわからないがそのリズムがなんらかの好循環を生み出した。

第6ゲームは100回以上のラリーが2本。みなみさんは30-0からデュースに持ち込まれロングラリー2本を落とす。
第1セット同様再び3-3のタイに。
みなみさんはサーブゲームを3本連続の早いミスで落としてしまう。その後もミスが続いてかのんリードの5-3。

この時みなみさんの脚が徐々に止まり始め、かのんも第1セットのような機敏なフットワークは影を潜めていた。ファイナルに入ればどっちに転ぶかわからない状況だった。

毎ポイント長いラリー。両者のミスによりデュース。70回近いラリーの末かのんはドロップショットでチャンピオンシップポイントを手繰り寄せる。
かのんは長いラリーを終わらせるべく短いスライスを打つ。みなみさんはバックで取る。
ベースラインを超えてアウト——

ソフィアオープンシングルスはアドバン1年生がアベック優勝!


かのんは試合後、「今回はちょっと感情的だった」と。たしかにガッツポーズの回数も多く自分を奮い立たせていたのが印象的だった。イライラする様子も見受けられた。

内容は第1セットと似ている。
前半はかのんのミスが目立ちみなみさんがミスの少ないテニスを展開するものの、後半に差し掛かるとみなみさんのミスが目立ってきてかのんのミスが減るパターンだった。


今後の練習会においても上級中級関係なく「ミスしない」ことは全員の共通目標だと思います。ただ、今回女子の試合で多々見受けられたのはラリーを終わらせられない状況です。中学生の時教わってたコーチがよく「ラリーは終わらせるもの」と言ってました。かのんは今回ネットに詰めたりスピードボールを打ったり、ドロップを打つことでうまく終わらせることに結びつけられたと思います。かなり偉そうな締めになってしまいましたが、自分含めて(特にサーブ)ミスしない中でどうやってラリーを終わらせるのか意識して秋以降の練習に励みたいと思います。
ちなみに女子シングルス決勝はダブルフォルトは両者含めて1本だけでした。


かのんへのおめでとうは二冠獲ってから言いたいと思います。

決勝 0-2 (3-6 . 3-6)

1stセット凡ミス
みなみさん••• F 9. B 14
かのん••• F 7. B 6

2ndセット凡ミス
みなみさん••• F 12. B 9
かのん••• F 7. B 3

TOTAL
みなみさん••• F 21. B23
かのん••• F 14. B 9


by しいな


朋矢 VS 大陸 

今大会にせよ四大大会にせよ、1大会に2つか3つ、とんでもない試合がある。空気が張り詰め、両者の心技体がガッチリ噛み合う。一挙手一投足の音だけがする中で格闘技のようなラリーが続く。

その張り詰めた空気がフォアハンドウィナーで一気に解放された———

試合は朋矢のラブゲームキープから始まる。2本のウィナーを含む上々の立ち上がり。第3ゲームまでフォアハンドを主体とした攻撃で両者サービスキープ。続く第4ゲーム。陸の3本のアンフォーストエラーから朋矢がデュースの末ブレイクに成功。その後のゲームもフォアハンドウィナー2本ですんなりキープに成功。4-1とする。4-2で迎えた朋矢のサービスゲーム。ダブルフォルトや凡ミスによりブレイクバックを許してしまう。
しかし、ここで朋矢が再びブレイクに成功。陸のフォアに続けて打ち込みラブゲームブレイク。5-3。
『集中ぅ』と自分に言い聞かせてのブレイクだった。セット終盤は陸のフォアのミスが目立ち最終第9ゲームラブゲームキープで第1セットを先取。

第1セット、朋矢の2ndサーブポイント獲得率は90%。陸は44%。両者1st INの確率が6割前後ともう一声欲しい中、数字に表れているように2ndサーブをしっかりポイントに結びつけたのは朋矢だった。
凡ミスも朋矢は5本に抑えた一方で陸は12本。
フォーストエラー(無理を強いられたミス)はフォア6本(全体7本)あり、朋矢がクロス方向であるフォア側にしっかりスピードボールを打ち込んでいたことが分かる。
ただ第2セットではもう少し1st INの確率を上げてダブルフォルトによって重要なポイントを与えたくない。


勝負の第2セット。両者サービスキープで迎えた第4ゲーム。朋矢から1-2のサービスゲーム。ダブルフォルト2本、フォアのミスが重なり30-40。1stもほとんど入らない状態。しかしここは陸の連続のリターンミスに助けられてデュース、ADを手繰り寄せる。再びダブルフォルトを犯したが2度のデュースの末ギリギリのサービスゲームに成功。

このゲーム、若干だがファイナルを覚悟したケンタ・チャンとカツミ・ボッティーニ。朋矢が陣営を見る回数が増えてかなり不安だった。
陸はこのリターンゲームでバックのリターンをスライスからヒットに移行した。もしスライスリターンのままであったらブレイクされていた可能性は否定できない。

第5ゲーム以降は球が「弾」になる。陸の1stはスピン主体からフラットに変わったが朋矢はしっかりそれを返球。第6ゲームは朋矢が初めて腰に手を当てたがビッタビタに決まった朋矢の3球目攻撃や朋矢が緩急で入れたはずのスライスはことごとく陸のゴン攻めフォアによって粉砕されるような熾烈なラリーが繰り広げられる。
第7ゲーム。陸のフォア側にウィナー級のスピードボールを集めていき、ついにブレイク。その後キープし5-3とリード。
第8ゲームは0-15とリードし、バックハンドウィナー。ソロチェアアンパイア方式を採用したためラインはセルフジャッジだった。アウト判定でも良いような際どいそれを陸はIN判定。陸のスポーツマンシップにケンタさんと私も感服。
陸はそこから4ポイント連取。サービスキープに成功し朋矢リードの5-4。

ダブルフォルトとフォアの凡ミスにより0-30。しかし朋矢は再び陣営を見て気持ちをリセットする。陸のフォアに打ち続け40-30。
ついにチャンピオンシップポイント。張り詰める空気。いつも通り7回ボールをつくルーティン。2ndサーブが若干浅くなったもののそこからラリーに。浅くなったボールを強引にフォアに回り込む。強引にストレートに持ち上げたボールはこの試合11本目のウィナーとなった——

『ヤ”ァァァ!!!!』ウィナーの着弾とともに歓声が沸き起こる。朋矢は今日初めて笑みが溢れる。信じられない様子といったところだろうか。ラケットは手から滑り落ち歓喜の渦が巻き起こる。


なんとかキープできた第4ゲームが大きかった。その後のサービスゲームで1st IN率を8割に戻せたことが自身のメンタルにも陸にプレッシャーをかける面でも大きかった。陸のフォア側にしっかり振り切りミスを強いてポイントを積み重ねたことがこの試合通しての勝因のように感じる。
トータルサマリーで目を見張るのは1stサーブポイント獲得率が朋矢は80%。陸は54%。2ndセットで数少ない1stサーブをポイントに結びつけることができた。

最後の練習会のミーティングでひろしさんが言っていたように1stサーブが試合の結果を左右することがこの試合で改めて分かった。

朋矢へのおめでとうは二冠獲ってから言いたいと思います。

決勝 2-0 (6-3 . 6-4)

朋矢 TOTAL   大陸
55% 1st serve IN 66%
80% 1st serve points won 54%
84% 2nd serve points won 64%
3 Ace 0
6 DF 0
11 Winner 8
9 凡ミス 18
0/0  Net points won 4/5
3/4 Break points won 1/2
61 TOTAL POINTS 44


by しいな